令和版徒然草 おっさんの戯言

Essays in idleness 酒と熊野とサウナとラーメン

俺の名盤10選

最近はとんと聴かなくなりましたが、間違いなく若い時分はロックに支配されていました。

タワレコ詣が日常茶飯事だったし、フジロックにもサマソニにも毎年通っておりました。生活の一部であったと言っても過言ではありません。

昨今、サウナとラーメンに傾倒するメタボリックなオジサンへと成長を遂げてしまいましたが、ふと思い立ちました。

私が愛してやまない名盤10選を記しておきたいと思う次第であります。

 

1. Loveless / My Bloody Valentine 

シューゲイザーの代名詞。マイブラのこのアルバムは私には余りにも神々しくまた衝撃であった。冒頭から奏でられる変則轟音フィードバックギター。脳内にダイレクトに鳴り響く。否、脳味噌が揺さぶられる。浮遊感漂うその旋律は唯一無二。

かつて、フジロックのグリーンステージにて生のプレイを聴く事が出来たのは幸運であった。夜の苗場の山々に響き渡るメロディアス且つ美しくまた暴力的なる轟音の洪水は私を遥か遠くへ昇天させてしまった。

ビルマーレイが出ていた映画「Lost in Translation」にもラブレスの楽曲が採用されていたっけ。あの映画に出てくる新宿パークハイアットのニューヨークバーにとても憧れていました。

2. Berlin / Lou Reed 

ルーリードとの出会いは「Perfect day」からであった。シュールで偏屈。が、哲学的であり危うさが半端ない。そんなルー先生に傾倒した。が、初期に発表されたこのベルリンについては、当初、何だかすげぇ陰鬱だな。と感じて敬遠していた。若輩者であった学生時分の愚鈍な私はこの傑作に対する理解に至らなかったのである。

時を経て、30を過ぎた頃、ひょんな事からジュリアンシュナーベルがNYでのルー先生のライブを映画化した事を知った。題材は漏れなく「ベルリン」。

今はなき吉祥寺のバウスシアターにてこの映画を観た。爆音上映会という素晴らしきアレンジであった。

結果、やっと私はこのアルバムの凄まじさを理解する事となった。クスリと暴力。男、否人間の身勝手さと残酷さ。悲哀。刹那。これらが凝縮された不朽の名作だ。是非この映画は観て頂きたい。ラストの「Sad song」の甘美なるメロディとルー先生が奏でる攻撃的且つノイジーなギター。相反している様で共存しているこの楽曲がベルリンというアルバムの核を代弁している様に思う。

3. 空洞です / ゆらゆら帝国

ゆら帝に関しては初期のガレージっぽいハードな感じも大好きだ。「ミーのカー」や「3✖️3✖️3」など名曲が多数。

が、アルバム「ゆらゆら帝国のめまい」「ゆらゆら帝国のしびれ」くらいからよりオルタナ感が増した気がする。因みにこれらアルバムに収録の「無い」と「冷たいギフト」は名曲。日比谷の野音で「無い」の生を聴いた時、リアルに意識が飛びかけた。

「空洞です」は正に彼らの最終到達点であると思う。無理無駄が完全に排除されている。派手な演出は無い。淡々と練り上げられた秀逸なる楽曲の数々は逆に一層サイケデリックだ。

最後の楽曲はアルバムタイトルである「空洞です」。ここに結実する。不思議な事に昨今のリーマン生活がこのアルバムの楽曲とフローにヒットする。

「できない」し「あえて抵抗しない」。「まだ生きている」が、「ひとりぼっちの人工衛星」だし感覚的には最早「空洞です」。

4. OK Computer / Radiohead 

元々、「Bends」からレディオヘッドを聴き始めたが故、このアルバムは当時の私にとっては衝撃的であった。

冒頭の「Airbag」にて完全に持っていかれた。且つ、組曲の如き「Paranoid android」に度肝を抜かれ、「No surprises」にて討ち死にした。

当時の私自身の年齢、トムヨークの年齢、つまり若かりし頃の特有の感覚。みたいなもんも有るんだろうが、レディオヘッドの全ての作品の中で最も聴き込んだというか傾倒したのはこの作品であると考えている。

5. Kid A / Radiohead 

OKコンピューターを超える衝撃は予想していなかった。が、超えてしまった。

当時、某ロック雑誌を愛読していたが、Kid Aの発表間近の時分、ただでさえ危うげなトムヨークの風貌が更に怪しくなっていた。且つ、ロックなんてゴミだと当時の彼は発言していた。という事で大変気になっていたのは事実。

忘れもしない。発売日にタワレコにて視聴した時の衝撃を。これはアンビエントエレクトロニカ?冒頭、「Evelything in its right place」のエレピを聴いた瞬間に鳥肌が立った。「National anthem」の分厚いベース音に興奮した。「Ideoteque」に関してはただただ戦慄した。

今、このアルバムはコロナ禍だからこそ?何故かより一層響く。未来への警鐘だったのか。

因みにある種の寂しさを感じたのも事実。もうギターを掻き鳴らすレディオヘッドは見れないのか?とも感じた。故に、2003年「Hail to the thief」発表時のサマソニにてアンコールの最後に「Creep」を彼らが演奏した時、崩壊した。リアルに40度の高熱を発症した。まぁただの風邪なんだろうが。

6. (What’s the story)Morning Glory? / Oasis

確かにあの当時オアシスは流行ってた。が、「Live forever」や「Supersonic」を聴いてもそんなに傾倒する事は無かった。

が、ある日、これもまたタワレコにてこの新譜を何気無く試聴した。

完全に夢中になった。今迄のオアシスとは何が違っていた。これは未だに上手く表現出来ない。が、このアルバムは突出して私にフィットした。

「Wonderwall」や「Don't look back in anger」はまごう事なき名曲。「Some migjht say」や「Champagne supernova」も素晴らしい。尚、後にも先にもこれ以上感覚的にフィットするオアシスのアルバムは無い。

7. 孤独の太陽 / 桑田佳祐

神奈川出身故、幼き頃からサザンの音楽に慣れ親しんできた。もちろん好きです。夏が来ればサザン。湘南。

が、このアルバムを聴くまで私は桑田佳祐なる希代のミュージシャンを全く理解していなかった。

あれは高校生の頃。洋楽かぶれを自負し、スノッブな空気感を醸し出していた私にラグビー部の仲間である嶋田くんがこのアルバムを貸してくれた。すげーいいから聴いてみて。と。

衝撃的だった。良い意味での昭和感。フォーク&ガレージ。攻撃的且つシリアスに陰鬱なる社会問題や人間の悲哀に切り込む秀逸なる歌詞の連発。これは素晴らしき名盤。紛れもなくロックだ。

あの時分はまだまだ若かったけど、「真夜中のダンディー」や「貧乏ブルース」、「しゃあない節」にて人生の悲哀や刹那を強く感じた。

尚、某ミュージシャンへのメッセージを歌ったとされる「すべての歌に懺悔しな」は高校生ながらドキドキしながら聴いていた。ありゃあすげーなと。ガチで喧嘩したいんかと。

8. Nylon Curtain / Billy Joel

私の洋楽への入り口はビリージョエルであった。中学生時分、「Stranger」や「Honesty」を聞き齧り、「Piano man」にたどり着いた。彼のアルバムは殆ど全て聴いている。

やがて色気付いた私はレディオヘッドスマパンを聴き始め、レッチリやREMにも手を出した。そこから先はタワレコ詣が生活となり、あらゆるロックに触手を伸ばした。ロックの奥深い世界にどんどん飲み込まれていった。

が、変わらずにビリージョエルを愛している。私に洋楽を教えてくれた人だから。鬱でアル中になり、セレブパーティの帰りに飲酒運転して街路樹に激突したというニュースを見ても私は変わらず彼を愛している。

という事で彼のアルバムを1枚推挙せざるを得ない。ナイロンカーテン。メロウなポップスを多数作り出してきた彼のキャリアを鑑みると社会問題やベトナム戦争に切り込んだこのアルバムはある意味異質な存在感を放っている。

サイケデリックな雰囲気を醸している。「Allentown」や「Pressure」が有名だが、私は「Skandinavian sky」や「Laura」が好き。また、最終曲の「Where the orchestra?」は彼のキャリアの中でもとびきりも美しい名曲だと感じる。

9. Doolittle / Pixies

ブラックフランシスは天才だ。ビジュアルはスキンヘッドのメタボリックなおっさん(Current)だが彼は天才だ。

初めてこのアルバムを聴いた時、冒頭の「Dibaser」を聴いただけで血が沸騰した。オルタナ或いはグランジ。そんな肩書はどうでも良いと思う程、激しく興奮した。Lylicは狂気に満ちている。イカれていると言っても過言ではない。クズになりたい。クズになりたいと歌い上げている。「Here comes your man」や「Monkey gone to heaven」など名曲揃いだが、私は「Dibaser」に一番惹かれてしまう。

Got me a movie, I want you to know
Slicing up eyeballs, I want you to know
Girlie so groovy, I want you to know
Don't know about you
But I am un chien andalusia
I am un chien andalusia
I am un chien andalusia
I am un chien andalusia
Wanna grow up to be, be a debaser
Debaser, debaser
Debaser, debaser
Debaser
Got me a movie, ha ha ha ho
Slicing up eyeballs, ha ha ha ho
Girlie so groovy, ha ha ha ho
Don't know about you
But I am un chien andalusia
I am un chien andalusia
I am un chien andalusia
I am un chien andalusia
Debaser

かのカートコバーンもPixesに傾倒したと言われる。Doolittleは紛れも無き名盤だ。
 

10. Pet Sounds / The Beach Boys

言わずもがな。20世紀最高のアルバムと言われるこの作品。全体的に浮遊感漂うメロディアスなこのアルバムから私は狂気とドラッグの匂いを感じる。

ブライアンウイルソンが自己中心的に制作したと言われる本アルバムは限りなくメランコリックで美しく、変態的なる細部にわたるアレンジメントと拘りに溢れている。

オルタナティブ。という言葉で片づけて良いのか分からない。ただ、兎に角、変態的に美しい。

未だに分からないことが有る。何故最終曲の「Caroline no」の終盤に電車音×犬が吠えているのか?どういうConceptというか意味が込められているのだろう?ご存知の方が居れば是非お教え下さい。